スリランカ旅行のハイライト、4大宗教の聖地アダムスピーク(Adam's Peak)!「聖地」×「登山」というバックパッカーにはたまらない響きで、スリランカ旅行の中で一番楽しみにしてました!
経験者のブログを見る限り「果てしない階段道で地獄だった!」のような評判が多いですが、実際に登ってみてとても素晴らしかったので、歴史や地理、登山道の情報をご紹介します。
4大宗教の聖地とは?
アダムスピークはスリランカ南部に位置する標高2,238mの山で、仏教、イスラム教、キリスト教、ヒンドゥー教の4つの宗教の聖地とされる神聖な山です。
頂上にある大きな岩が足跡のような形をしていることから、別名「スリー・パーダ = 聖なる足跡」と呼ばれており、仏教ならブッダ、イスラム教ではアダムとイブのアダム、キリスト教では聖トーマス、ヒンドゥー教ではシヴァ神の足跡と見立てられています。
仏陀が実際に登ったことのある山ということもあり、仏陀と同じ道を歩こうと毎年多くの信者が巡礼に訪れているそうです。
どこにあるの?
スリランカ南部に位置しており、コロンボから5時間、キャンディから4時間程度かかります。
コロンボから行く場合、
コロンボ(Colombo)→バス→ハットン(Hatton)→バス→ナラタニヤ(Nallathaniya)
キャンディから行く場合、
キャンディー(Kandy)→電車→ハットン(Hatton)→バス→ナラタニヤ(Nallathaniya)
私は大丈夫でしたが、2時間ほどくねくねとした山道を走ることになるので、乗り物酔いする人は覚悟が必要です。車酔いしてしまうと到着直後に登山を開始するのが難しくなるので、時間に余裕を持って到着することをおすすめします。
おすすめの時期や登り方は?
雨や霧の多い時期を避けるため12月の満月〜5月の満月がハイシーズンです。さらに日中の強い日差しを避けるため、深夜12時ごろに登頂を始め、頂上でご来光を拝むのが一般的な参拝方法とされています。
ただ、経験者のブログを見る限り「みんなが深夜に参拝するため、頂上が人で溢れかえってしまい、頂上手前の道で立ち往生してしまった」や「真っ暗でほとんど景色が見られなかった」などの記述を多く発見したので、私はゆっくり自分のペースで登れる日中に登ることにしました!
全体マップ
片道3〜5時間程度。
①までは車やトゥクトゥクで行けます。①〜③までは比較的平坦な道が続きますが、③以降階段が増えていきます。④以降はほとんど迂回せず一気に頂上に向かう道になり、急な階段道を2時間ほど登り続けることになります。
いざ、登山スタート!
麓の道は平坦なところが多く、露店がたくさんあります。
年間多くの信者が訪れるために色々なものが売れるのでしょうか…登山には全く関係のない洋服やバッグ、日用品なんかも売られています。
こんな道が30分ほど続いたところで、どーんと大きな門が。
マップ上の②です。
その横にヒンドゥー教のガネーシャとシヴァ神と仏教の涅槃像がありました。
涅槃像を囲むように配置されているヒンドゥー教の神々。
4つの宗教の聖地のため、それぞれの宗教にまつわるものが点在しているのは理解できますが、この並びは個人的に驚きでした。まるで涅槃像を守っているかのようなガネーシャとシヴァ神。仏陀はヒンドゥー教の3大神(ヴィシュヌ神、ブラフマー神、シヴァ神)のヴィシュヌ神の化身と扱われているため、ヒンドゥー教徒からすると違和感がないのかな?
ポロンナルワ遺跡でも仏陀の周りをヒンドゥー教の神々が覆っている仏像を発見したので、スリランカでは珍しくないのかも?この辺の仏教とヒンドゥー教の関係性にとても興味があるので、ご存知の方教えていただけると嬉しいです!
このあたりから徐々に露店が少なくなってきます。
ちなみにお手洗いは適度に設置されています。20スリランカルピー。
外のドラム缶に水が溜めてあるので、バケツで必要な水をすくって流します。
30分ほど進むとまた宗教施設が。こちらも仏教とヒンドゥー教が横並びで配置されていました。
そしてなんと…!「Japanese peace temple」なるものがありました!
どんな縁があるのか気になりましたが、入り口は閉まっており、周りに人もいないのでしぶしぶ諦めて通過。山頂を目指します。
このあたりで登山開始してからちょうど1時間くらい経過してました。マップ上の③です。
「ここまではかなり順調だな〜あと2時間くらいかな」と思って、すれ違う人に「頂上までどれくらい?」と尋ねると、「…4時間くらいかな?」との返事が。
「ん…?4時間?…え?ちなみに山頂ってどこ?」
「あそこ」
「え…遥か彼方ですやん。そもそも今日中にたどり着ける距離なの…」
もうね、途方に暮れました。
日没までに帰ってこれるのか、そもそも私の足が機能する間に登れるのか、、、どうせ登れないかもしれないなら、下山して他の観光地を楽しんだほうがいいのではないか…色んな考えが駆け巡りました。
でも…!足が自然と前に!ここはバックパッカーの性でしょうか。
「美しい景色が待っているのに、迷ってなんていられない!」
なんかもうどうでも良くなりました。
というか、「何が起きてもどうにかすればいいや」と思いました。
日本寺院を過ぎたあたりから徐々に階段が増え始め、永遠と続く階段道へと変化していきます。
ここを1時間くらい辛抱強く登っていくと、目の前にあの山頂が!
ここがマップ上の④〜⑤あたりになるんだと思います。
アダムスピーク登頂が辛いながらも楽しかった1つの理由が、時々このように山頂が見えるポイントがあり、「どんどんゴールに近づいている」と分かることでした!
最初は途方もなく遠かった山頂が階段を登るごとに迫ってくる感覚は、まるでRPGゲームのボスに決戦を挑む前のような、あとちょっとで囚われた仲間を助けられるような、そんなワクワク感に満ちていました!
写真左側の白い糸は、巡礼者が巻き付けていった糸。
どうやらこのあたりで仏陀の袈裟が破けてしまい、仏陀自ら袈裟を縫ったとの言い伝えがあることから、巡礼者が糸を張り巡らしているらしいです。
ここを更に登っていくと、人一人がちょうど通れるくらいの階段道に突入します。
この赤いレールの道に入ると、残りはあと1時間程度です!
更に急な階段道となって一歩一歩が辛いので、すれ違う人と励まし合ってパワーをもらいます!
ちなみに「どのくらい時間がかかる?」という質問を10人くらいにしたところ、答える人によって時間が変わることが判明。成人くらいの人に聞くと想像通りの時間、お年寄りに聞くとその倍の時間が返ってくるので、この質問をする際は人を選ぶことをおすすめします。変な心労が増えるので!笑
頂上からレンガ?を運んでいるNavyの青年達が「あとちょっとだよ!」と励ましてくれました。重いもの持って大変だろうに、笑顔で話しかけてくれるみんな。
本当にスリランカ人は純粋で優しくて、この登山が終始楽しかったのもすれ違うみんなの笑顔のおかげでした。旅をするたびに世界に好きな国・人が増えていくのですが、いつもその始まりは笑顔と挨拶から。この喜びを味わいたくて、私は旅を続けているような気がします。
そして…!ついに頂上に・・・!
頂上には、寺院や仏陀の黄金の足跡(撮影禁止)、鐘などがありました。
左側の部屋の中に、金の足跡があります。
雲の上なので景色は360度真っ白。想像よりこじんまりしており、取り立てて豪華なものや物珍しいものはありませんでした。でも、信者にとってはお参りに来る場所なので豪華な必要はないですよね。
老若男女問わず多くの人がお祈りをしていて、特にお年寄りや3歳ぐらいの子供はこの山道を登ってお祈りをしに来たのかと思うと、信仰の深さを感じました。
足は持つだろうか…と心配していましたが、止まったら負けだと黙々と進んだところ、下山は2時間ぐらいでいけました。
膝は大笑いでしたけど(笑)
この登山で何よりの思い出は、階段道をハアハア言いながら登っているスリランカのみんなと励まし合って、たくさんのぬくもりを交換し合ったこと。同じ境遇だからこそ、会話せずともわかり会える場面もあり、普段は味わえない充足感を感じました。
もし、少しでも気になっている方がいればぜひ行ってみてくださいね!